動画:『【 MTBドリル 】デコボコプッシュ』と詳細説明

 

めっちゃくちゃ久しぶりに動画をアップしました。15ヶ月ぶりです。。。

今回アップしたのはマウンテンバイクの課題(ドリル)で『デコボコプッシュ』です。
はい、名前はいつものように編集しながらてきとうに決めました! 安易ですいません!
これ、自分でもいつからやってるのか全く覚えてないんだけど、なんか気がついたらよくやってるというやつで、でもよく考えたら体の動き覚えるのに役に立つから動画にしてみた次第。

ただ、今回はちょっと特殊なシチュエーションです。
堤防などによくある「アレ」・・・本当になんて言ったらいいのかわからないんだけど、コンクリートの凸凸がたくさんあるじゃないですか。
凸凸凸凸凸凸凸凸←こんな感じのやつ。
あれをペダリングなしで越えながら、なおかつ加速していこうというのが今回のお題。

ほらもう地味っぽいでしょ?
でもやってみるとちょいムズでなかなか面白いんですよ。

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いくつかのコツと、その解説を書いてみます。
また長くなってしまったので、ご興味ある方はお時間のあるときにどうぞ。。。

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一つ目のコツは「前輪が凸に当たる時の動作」です。

前輪に当たる時の衝撃は結構なもので、それを和らげるために幾つかの方法が考えられますが、ここでは「カラダ(主に頭と上半身)を跳ねあげて衝突する力を小さくする」方法を取っています。
要するに、人間と自転車が進んできた勢い(慣性)を上向きの力を加えて斜め上に変化させ、ぶつかる力(抵抗)を小さくしてしまおうってことですね。

「跳ね上がる」ためには、一旦アタマ(+上半身)を低くする必要があります。高い位置のままだとそれ以上高く上がることができませんからね。
そして、アタマが低くなる位置は、ハンドル・ステムあたりの上。ここをアタマの重さとその移動によって生じる力で一旦押さえ込んだ後上に抜くことで、前輪にかかっている重さや慣性を抜きます。

ハンドルを後ろに引いてあげる方法は、そのあとに自転車に追いつくのが面倒なので使いません。

また、前輪が段差に当たるのはそんなに問題ありません。
当たらないに越したことはないんですが、重たいカラダが上に向かって動いているので当たってもそんなに大した衝撃になりませんし、また身体が当たった箇所の上に位置していることによって衝撃を抑えることにもなります。
あまり頑張って前輪を上げようとすると動作が大きくなって次の動作に間に合わなくなったりしますしね。
まあ、ある程度以上の高さやスピードになったらあげたほうがいいですけどね。

ちなみに後輪でも同じ理屈の動作をしますが、前輪よりも当たった時の影響が小さいので動作は小さくて済みます。

最初のうちはとにかく「前輪のタイミング」重視でやってみてください。

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二つ目のコツはタイヤが落ちる時に「真上」から押す理由です。
「コツ」なのに「理由」っていうのは、頭で理解した方が飲み込みが早いかなって思ったので。

タイヤって段差から落ちる時に勝手に前に移動するんですよ。
捉え方を変えると、重力に引かれる(真下への)力(の一部)を水平方向の力に変換できる=タイヤが落ちる時に「下に押せば前に加速する」ってことです。

 

これを利用しない手はありません(笑)
普通にしていたら重力に引っ張られるだけの車輪(車軸)に、さらに下向きの力を加えてもっとたくさんの「前進する力」を作ろう!というのがこのプッシュなわけです。
自転車をタイヤの移動方向に押すと、一瞬は速くなるかもしれませんがその後進んだ自転車に身体を追いつかせるために自転車を引っ張ることになり、よくてプラマイゼロ。下手すれば抵抗分マイナスになります。
これが動画で何度も出てくる「真上から押す」の理由。

あとこれ、元々の前進の勢いがあると、タイヤが地面に着く前に凸の「カド」から離れちゃうんですよね。
凸の「カド」から離れたタイヤは、ただ慣性に押されて前に進むだけのただのタイヤです。
なので、タイヤが地面に着くまで「凸のカド」にタイヤをくっつけておくのもこのプッシュの大切なところ。
これもタイヤ(車軸)を「真上から押す」理由。

また、このプッシュによって自転車が加速しても、真上から押している限り人間も一緒に加速します。
ハンドルを前に押すなどして自転車だけ加速しても人間が置いていかれちゃったらそのあと追いつくためにせっかく作った力を消費することになりますしね。
で、上から押した場合は、「真上から押す」と同時に身体が前に出る(加速する自転車に合わせて前に動く。動きを支えるのは下に押す力が前向きに転換されない分の反力)とか、真上からの強い荷重によって加速する自転車とともに体が運ばれるという「現象」があったりとかで、自転車に遅れることなく加速していくと考えています。
(正直なところ、まだこのあたりをうまく説明することができません。。。おそらく、加速中は身体によって上から下に押さえつける力を発生させたための荷重増や、力を一方向に発揮する時の姿勢の固定化あたりも要因になってるんじゃないかと。)

ただ、ずっと強い力で押し続ける必要はありません。
最も下向きの抵抗が強い落ち始めにアクセントを置き、その後は腕や脚が伸びるに任せる感じです。

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三つ目のコツは、タイヤを真下に押すときに「身体で押す→腕や脚で押す」の順序で行うこと。
これは力を伝える上でとても大切なことです。

身体を使って何かを押すときに最も簡単なのは腕や脚を伸ばすことですね。
でもその「伸ばす力」はその片方(押すのと反対側)が支えられてないと、その力は伝わりません。
また、支える力が弱ければその力も弱くなってしまいます。

腕や脚を伸ばして何かを押す時に、その支えになる部位は肩や腰です。
ですが、腕や脚の力は、腕立て伏せやスクワットで支える「肩や腰(を経由する身体)の重さ」を持ち上げれるくらいには強いのです。
これでは、せっかく手足を伸ばして押しても強い力は伝わりません。

では、肩や腰の「支える力」を大きくするにはどうしたらいいでしょうか?
僕の答えは、押す対象に向けて支える点=肩や腰を動かすことです。しかもできるだけ素早く。
重さを持った物体は移動をすることで力を増やします。またそれは速ければ速いだけ力の増加も大きくなりますね。
置いてある石はその重さの力しかありませんが、投げられた石は当たると痛いですし、投げるスピードが速ければもっと痛いです。。。この痛さが力の大きさです。例えが悪いかもしれませんが。。。

今回のドリルの場合、上から下に力をかけるので肩や腰も上から落とすようにして力をかけます。
すると、腕や脚を支える点が下向きの力を持ち、その下向きの力に乗せて腕や脚の伸びる力が自転車に伝わることになりますね。つまり二段ロケットです。

ただ、最後まで肩や腰が押しっぱなしでいられるわけではありません。
腕や脚の力を支える力に転化したら、もう肩や腰には落下してきた力が残らないからです。
反対にいうと、腕や脚に伝える一点=タイヤが落ち始める瞬間に伝えた後は腕や脚に任せて体は自転車とともに進んで行くことになります。

これを前後のタイヤが交互に凸の上に乗るたびに行うのですが、やっぱりまずは「前輪」に集中して動くとやりやすいと思います。
ちなみに前輪を押すタイミングで両方他のタイヤを押しちゃうと後輪が凸に思い切りぶつかって超減速しますよ(笑)
「前後交互に」をちゃんと意識してください。

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ここで一つ大切なことは、地面にタイヤが着いた時、腕や脚はまだ「伸びる途中」にあることです。
強い力で地面に押されたタイヤは、接地と同時にその反対の力を生じさせます。
この時に腕や脚の伸びが止まっていると、この押し返してくる力によって腕や脚が曲がってしまい、せっかく生んだ力を吸収してしまいます。
腕や脚が伸びて、まだ下向きの力を発生させていれば、その地面から帰ってくる力に対抗できるわけです。

伸びている途中の腕や脚を外部からの力で縮めるのはとても大きな力が必要ですし、そのくらいの力が下から与えられれば腕や足が曲がるよりも先に身体が持ち上げられます。
実際に動画内でもそれを利用して次の凸に対しての動作に利用していますしね。

また、同時に地面に着地したタイヤは反発によって弾もうとしますから、これを抑えて前に転がる方へ転化させるのもこの腕や脚の伸ばす力を残しておくことで可能です。

というコツ?理由?です。

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これでやっと最後です。
「どうして上下動なの?」ってことです。

上下(重力の方向)の動きというのは、落ちる方は重力が勝手に引っ張ってくれますし、上がる時は筋肉による腕脚の伸長によって行われますが、その伸長の一方は(最終的には)「地面」というものすごく安定した力が支えてくれます。
あと平地であれば、支える力が地面(垂直)ということは、進行方向(水平方向)の力への影響が小さくて済みますね。(タイヤやサスペンションの有無などで多少の影響は出ますけどね)
(ハンドルを前後に押し引きすると、その支える力として「水平方向に働く力」を使う=この場合は「前に進む力」。一瞬だけ見れば加速したように見えても、押し引きした力はどこかで回収するので増加することがない=加速しない)
何より「重力」や「地面の支える力」は無限と言っていいほどですから、人間の筋肉が動く限りいくらでも新たに「力」を生産することができます。

今回の動画であれば、身体の上下で生んだ力を凸の落差に乗せて加速しますし、「ノーペダル8の字」のような場合は自転車の仕組みにその力を利用して推進力を得ています。

まあ、あんまりやってるとやっぱり疲れますけどね(笑)
ただ、自転車を進める(加速する)力を作るためには、その「力の源」が必要です。
下り坂であれば「重力」、ペダルを使うのであればペダリング=ペダルを回す「筋肉」がその力の源になり、前に進む力を作ります。
平地の上をノーペダルで進む(加速する)力を生むのは「重力」と「身体(物質)の上下動による力」で、その身体の移動を作り出すのはやはり「筋肉」です。
筋肉を稼働させれば多かれ少なかれ疲れるのはしょうがありません。

まあ慣れないうちは、力んだり無駄な動きが多かったりして余分に疲れますけどね(笑)
でも慣れれば、力を使っているというよりは、ただ「身体を移動させる」感覚だけでさほど力を使わなくなります。
これは、筋肉は身体を上下動させるための原資となる力なだけであって、直接的に自転車を進める力ではないからです。

最小限の身体の移動と重力の利用、そしてそれらのタイミングの成否によって、より大きな進む力を得られるからこれらの動作は楽しいとも言えます。

というか僕はそれが楽しくて自転車に乗ってるんだから(笑)

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超〜〜〜〜〜〜長くなったけど解説はこれでおしまい。
すごい時間かかっちゃった。。。

また思いついたら動画アップしますね。
あまり間が空かないよう頑張ります。

ほんでは。