解説:『走りながらスイッチ』(2022.5.12 記)

 YouTubeの凸凹支局とSNSに「走りながらスイッチ」という動画をアップしました。

※ 5/10アップ後、ちょっと説明を変更して5/12に新たに再アップしてます。アップ後に「こっちの方がいいんじゃないか」って思って変更しました。すみません。

 「スイッチ」について質問されることが多いのですが、段差に飛び乗るのはなかなかハードルが高い&怖いので、走りながらその動作感覚の触りだけでも覚えれたらいいのかな、と思って「走りながらマニュアル」を伝えることがあります。

 「スイッチ」は、「前タイヤだけで立った後、後ろタイヤだけで立つ」を空中で入れ替えるムーブを指しているということで良いと思います。
 トライアルでは、段差に跳び乗ったり跳び移ったりする時に、前タイヤから着地(またはカドに当て)後、前タイヤと入れ替えるように後ろタイヤを運ぶのに用いられますね。

 トライアルでも、状況によってブレーキを使ったり使わなかったりしますが、ここでは全くブレーキを使わないで行なっています。

 ブレーキを使わない分、進み続ける自転車の上で大きく身体を動かし、またブレーキに頼らなくても後ろタイヤを上げる感覚をつかめると思います。

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■ 解説

 この動作のベースになっているのは『顔から動くマニュアル』です。

【How-to】”顔”から動くマニュアルのコツ [まにゅこつ]

 実際に必要なのは『前タイヤを浮かせるまで』で、後半のマニュアルで長く走れなくても大丈夫。

前タイヤが浮くのであれば、両方と並行して練習してるとどちらにとっても良い効果があると思いますよ。

 ですから、もしやったことない方は、まず「顔から動くマニュアル」で前が上がるまでを練習してくださいね。

 

■ 後ろタイヤを浮かせる

 次に、その動作を大きくして「後ろタイヤを上げる(ブレーキ使わない)」を覚えます。

 身体を低く構え、顔を前に出すときに、ただマニュアルをするときよりも勢いよく&より前に出します。(青い矢印)

 同時に、ハンドルで前タイヤの車軸を『お腹の下に引き込む』ように手前に動かし、ついでに両ペダルを「後ろへ蹴る」感じにすると後ろタイヤが浮きます。
(いきなり思い切りやるとひっくり返ることがある(だから動画には書いてない)ので、ほどほどから徐々に動作を大きくしていきます)

 この時、ハンドルのポジションによってはハンドルを手前に引くことで返って後ろタイヤが上がらないバイクもあります。

 例えば、「ヘッドがかなり寝てる」 or 「ステムが超短い」のうちのどちらか、または両方揃うと後ろタイヤが上がりにくくなります。
 これは、後ろタイヤを浮かせる時、ハンドルは前車輪軸を中心とした円弧を描かなくてはならないためで、車輪軸に対してハンドルがあまりに手前にあると難しくなるからです。

(車軸→ハンドルの角度が浅くなるほど、前に倒すためには上方への移動が必要になるが、身体が直線的に前に移動するとその上方への移動を邪魔することになる)

 そういう場合には、前車軸からの円弧を意識し、顔だけではなくハンドルも一緒に前に倒していくように動くと良いかな、と思います。顔を向ける方向を前車輪の『先』にしても良いかもしれませんね。
 この場合でも『前車輪軸を手前に引き込む』はそのまま使います。

 

■ 後ろ→前タイヤを浮かせる

 後ろタイヤが浮いたら、次は前タイヤ。やっと本題です。

 前タイヤを浮かせるのも、基本的に「顔から動くマニュアル」と同じ。
 前に移動した顔&肩を、今度は後ろへ引く。

 タイミングは「後ろタイヤを浮かせるのが頂点に達したら」。このタイミングで「少し背中を起こす」ようにしながら「肩でハンドルを後ろに引く」。

 図はイメージがつかみやすいかと思って後輪軸に矢印をつけてますが、実際には下に向かうのは自転車と身体それぞれの「重心」です。

 自転車が水平になろうとする「落ちる力」と、それに推されて「前に転がる前輪」という状態に、ちょっとタイミングよく背中を起こして「肩で引く力」を加えてやると、回転する力が生まれ前後タイヤのスイッチが起きるという仕組みです。
(自転車が前に進みながら行っているのでちょっとイメージと違う人もいるかもしれません)

 スイッチができないという方に多いのは、前タイヤで立った後「腕や脚を伸ばすだけで前タイヤを前に送り出そうとする」ことです。
 これをすると、落ちる勢いも前に向けて押し出してしまうのでただ自転車が水平になっておしまいになっちゃうんですよね。

 「肩で引く」をしなくても『車軸・ハンドル・肩』の位置関係を変化させないだけで、自転車に回転する力が生まれますから、それに「肩で引く力」を足してやるくらいのイメージで良いと思います。

 またこのタイミングでの「肩で引く」動作は、素早く行い、ハンドルにその力が伝わる最初期に一番勢いよく伝わるようにすると、キレのいいスイッチになりますよ。

 説明が難しいのですが、ただ手足を伸ばしてハンドルを前に押すと、自転車は前に進むと同時に身体は(自転車に対して)後ろに下がります。作用反作用の法則です。また、その動作をすると身体と自転車の位置関係が大きく変わり、タイヤの転がる力を全体の回転に転化することができなくなります。
 「肩で引く」は身体が後ろ方向へ移動する動きですが、身体と自転車の相互の重心の位置関係が大きく変わらないことで回転する力となります。(もちろん前タイヤが転がる力にもなります)
 この「肩で引く」時には「肩から身体を起こす動作」を少し加えると、地面によって反力(抗力)をもたらされ、わずかな姿勢変化で十分な回転する力を増やすことができます。
 上の説明と矛盾しているようですが、この動きでは十分に地面を支えとして使えるタイミングを利用しているために可能となります。そのタイミングを利用すると下記のような感じになります。

 

 さらにキレイに空中でスイッチするには、後ろタイヤが上がりきる前に「肩から後ろへ引く」をするとできます。

 タイミングはあまり早いと後ろタイヤがすぐ落ちてしまうので、後ろタイヤが頂点に達する直前くらいの感じ。

 動き出すタイミングがそこということは、実際に動作を見ると後ろへ動き出すのは後ろタイヤが頂点に達し降りはじめるくらいになってますけどね。

 後ろタイヤに対しては、マニュアルする感覚のままで大丈夫と思います。

 練習しているうちに、何度かはひっくり返ると思うので、ブレーキに指だけはかけておいてくださいね。

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 以上、ざっくりとした解説でした。

 ではでは。