まいどです。
スクールなどで「コーナーの時の足はどうする?」って質問をよくいただきます。
特にバンクなどでは悩む方が多いようですね。
で、なんとか答えてみようとちょくちょく書いていましたが、でき上がったものは長大な文章になってしまったので、一旦お蔵入りさせることに。また改めて「ペダルの上で考える」の方へ。(休眠しちゃってるけど)
で、抜粋してポイントだけ書いてみます。それでも長いんだけど。
いろんな人がいろんなことを考えてると思うので、ここのことは僕はこう考えてますよってことでひとつよろしくお願いいたします。
○ コーナーリング中に自転車+人間に発生する力
- 遠心力
慣性の力(それまで進んできた方向へそのまま進もうとする力)と実際の進行方向のズレに因るコーナーの外に押されるように感じる力 - タイヤ(主に後輪)の回転による「まっすぐ進もう」とする力
回転する車輪は次々に接地点を変えるので、曲がろうとする力を時間的に分散させます。ロックしてない後輪はなかなか滑らない(方向を変えない)ということ。
↑ジャイロ効果ではないです。 - 重力(地球上にいる限り必ず)
また、人間にかかった力は、自転車(に接している個所)を通じて地面(接地点)に伝わります。
まず、「人間」への力を図にするとこんな感じかな。
次に自転車から見たらこんな感じ。
「反力」ってのは「押す力を支える力」みたいなものです。
自転車の重量はここでは端折りました。
あと、実際にはハンドルなどにも荷重が分散するのでこの図は「BB付近の断面図」そして主に「後輪」のことだと思って下さい。
あと、ペダルに伝わった人間からの力は、車軸を介して接地点に伝わりそこにはまたちょっと面倒なことがあるのだけど説明すると長いので割愛。(図からも割愛)
以下、コーナーでの外足と両足の場合の利点についてまとめ
□ 外足・両足それぞれのメリットとデメリット
- 外足荷重でのコーナリング
・メリット
身体を支える点(ペダル)がタイヤの接地点に近い(水平距離)
よって、接地点を直接上から押さえる効果がある。
=摩擦力(グリップ力)を上昇させる。
・デメリット
身体を片足で支える必要がある。
足が伸びてしまうので、その姿勢から新たに動作を始めるのが難しい。
- 両足荷重でのコーナリング
・メリット
身体を支える点(両ペダル・仮想としてその中心をBB)が身体の重心に近い(水平距離)
よって、両足で姿勢を安定させることができ、身体動作を起こすことが容易。
・デメリット
外足に比べ接地点から遠い内側に力がかかるため、グリップさせるのにコツがいる。
足を伸ばしたままだと重心が高くなり不安定になってしまうので、足を常に屈伸させておく必要がある。=ちょっと疲れる。。。
- 考慮に入れておくこと
上記は同じ自転車で2つの姿勢をした場合の比較です。
テクニックによってそれぞれのデメリットを軽減することが可能。
自転車に因る違いがあり、自転車によってはいつでも両足で曲がったほうが楽なものと、いつでも外足で曲がったほうが楽なものがあります。また「両足」の場合、その左右の高さを若干変えるなどしてコーナリング中の姿勢とトラクションをコントロールする事もあります。
□ で、結局どっちがどうなの?という話
ここまでを踏まえ、コーナーによってどう使い分けるか
(原則・個人的な使い分け)
- 外足を使うコーナー
・滑りやすい路面(逆バンク含む)のコーナー
・ハイスピードのフラットコーナー - 両足を使う所
・荒れた路面でのコーナー(片足より両足のが突き上げに強い)
・小さな連続したコーナー(身体の動作がしやすい)
・コーナーにギャップなどが加わっている場合(同上)
もう一つ、自転車に因る使い分け
- 外足が向いている自転車
・BBが高く設計されている自転車(重心位置も高い)
・トップチューブが高く設計されている自転車。
(自転車を傾けると、内側の脚を押してしまうので両足は向かない) - 両足が向いている自転車
・BBが低く設計されている自転車
(もともとの荷重する点が接地点に近い)
という具合に使い分けます。
□ では、バンクではどうするか?
バンクではどちらも使うことができます。
それぞれの利点と弱点は、上に触れた事とほとんど変わりません。
ただ、一つ大きく変わることがあります。
それは外に向かう力をバンクが「受け止めて」くれることです。
受け止めてくれるということは滑る心配がないので、よりスピードをあげてコーナーを曲がることができますね。
- スピードが上がる=慣性の力も上がる=遠心力も増える
(スピードが上がれば図よりも自転車は傾きますね。支えるために。外向きの力は自転車に対して縦向きの力?に転嫁される)
あと、フラットコーナーでは、ちょっとづつ横に滑ることで横向きの力を「いなして」いますが、バンクではそのしなしていた力も受け止めてしまいます。
地面への圧力が増える=地面からの反力も増えて、最終的にはライダー自身への反力となります。
つまり、強く遠心力を感じやすくなります。
- 逃げていた力も受け止める=地面への圧力が増える
=自転車や身体への負担(反力)も増える
遠心力が上がった上に、身体に返ってくる力も増え、身体(特に体重の多くを支える足)は大変ですね。
もちろん足が1本よりも2本の方が力が分散してそれぞれの筋肉が楽になります。
- 結論
スピードが上がったら身体を支える力がたくさん必要になるので、両足使ったほうが楽。ただし
・あくまでスピードが上がった場合や、バンクの形状により外向きの力が増えた場合の事で、たいていの場合は外足もOK。
・バンク角が緩い場合(十分に外向きの力を受け止められない場合)や、路面が滑りやすい状態などの場合、外足の方が安心して曲がれる事もある。
・自転車の特性(BB位置など)も考えに入れる。
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以上、ぱぁ〜っと説明してみましたが、どうでしょう。
結局、自転車や路面の状態などで臨機応変にということなんですけどね(笑)
考える端緒にでもなればうれしいです。
それに、それぞれのデメリットは「テクニック」で軽減することができます。
僕はそういうのを考えるのが楽しくて自転車乗ってるようなものなので(笑)
ペダリングの事とか出力とか、あと栄養学的な事の文献はよくあるんだけど、自転車の運動性能や身体の使い方についての文献が少ないのが目下の不満。
こういうのをオープンに議論できる場があるといいなぁ。とか思うのでした。
ではでは。