動画:『ちょびのり#46 ”急坂登れなかった時のこと”』

YouTubeに『ちょびのり#46 ”急坂登れなかった時のこと”』をアップしました。

 ある日、斜面を見て「これ、登れるんじゃない?」って思って登ってみたら登れなかった→悔しくて後日リベンジした動画です。
※ 周囲とご近所のご迷惑にならないよう人目を忍び気をつけて遊んでます。

 前半がその様子。後半が簡単な解説?みたいになってます。

 今回登っているのはコンクリートの堤防ですから、「登り口」が「カクッ!」としていて(伝われ!)難しいのですが、もし土の斜面で入り口が緩やかであれば前タイヤを浮かしたりなどの動作は不要となり「カラダを低くしておいて斜面に入るタイミングで坂の頂上に向けて伸ばーす!」だけで登れます。

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 後半の解説部分を捕捉。

● 進入速度

 登れなかった日の後、最初に考えたのは「ただ単に進入速度が不足?」というものでした。

 斜面への進入角度を変えて実際に登る時の斜度が変わっても、だいたい同じくらいの高さまでしか到達できなかったためです。

 なので、進入速度を上げ(=進む力を大きく)したら、もうちょっと高くは登れるはずと考えたわけです。
 おそらく効果はあったのだと思うのですが、助走が直線で取れないことと、ギアがシングル&軽いため、そこまで速度を上げられなかった感じがします。

 また、実用には問題もあって、平面から斜面に入る時の角度変化が急な場合、速度が上がるほどぶつかる力も大きくなります。これをなんとか処理しないとならないよねってことで「上向きの力を大きくしよう」が出てきたわけです。

 もう一つの解決策が「減った力は新たに増やせば良い」ということで「ペダリングすればいいんじゃないか?」ということになったわけです。

 反対に言えば、斜面への入り口の角度変化が十分に緩やかならば、これだけでも登れるということですね。

● 「姿勢の変化」と「力の方向の変化」

 身体の前後動で前タイヤを上げるマニュアルの場合、自転車とライダーの「力の方向」はさほど変わりません。
 多少の上下や位置関係の変化は生じますが、その変化も小さく力も小さいものです。

 ですから、斜面に「ただ前タイヤを上げて突入」しただけでは、直進してる時とほとんど変わらない力で斜面に当たることになります。当然、速度が上がればこの力も大きくなりますね。

 前タイヤを浮かしてることで、何もしないよりも進む力は上向きに変わりやすくなりますが、一定の速度を超えるとそれでは足りず、向きが変えられなかった分の力は身体に伝わり姿勢が潰れて登れなくなってしまいます。。

 前後の動作ではない上げ方でも、「前タイヤを上げる」という「目的」で上げる場合、前タイヤが上がった以上の上向きの力は生じにくいので、同様になります。
 前タイヤが上がって安定したところ、または上げきったところでそれ以上の上向きの力はなくなるので、そこからの移動の力はほとんど水平か落ちていくということになりますね。

 ということで、ただ「前タイヤを上げる」だけではない「要素(動作)」が必要だな、ということになります。

 上向きの力を作るには、身体の上下動に「勢い・速さ」が必要です。
「前タイヤを引き上げる」動作に「立ち高飛び」動作が加わる感じに考えてもらえればいいんじゃないかと。

 前タイヤを引き上げる時、身体は後ろへ引いている状態になりますが、その動作に「低くなる」を足して、前タイヤ(ハンドル)を引きながら身体が伸び上がることで、上向きの力を作ります。
 進行方向の力(慣性)に、この動作による上向きの力を合わせることで、適度に角度を持った力を合成できます。

 この時、あんまり身体を「真上」や「後ろ」に引いてしまう(そういうイメージで動く)と、体の伸びる方向と斜面の角度が離れてしまい、斜面に入ってからの勢いを削いでしまうので注意です。

● 「浮かす動作のタイミング」と「登る力」

 前タイヤの上げ方や上向きの力を意識しても、斜面に対してどのタイミングで行うかで結果が変わってきます。

 あまり斜面から離れたところで動作を始めると、身体が伸びきってそれ以上上向きの力が作れない状態で斜面に差し掛かることになります。(イラスト上段)

 ですから、あまり遠くから前タイヤをあげようとしないで「前タイヤが上がる途中で斜面に当たる」くらいのタイミングを目指します。結果的に前タイヤの高さは低くなりますね。
 すると、前タイヤが当たった時にはまだ身体が上に伸びる余裕にあるので、タイヤが斜面に当たって自転車が上向きに変えられるのと、身体の伸び上がり動作が合わさって登ってくれます。

 その上で、後ろタイヤが斜面にぶつかる前に、ほとんどの動作を終えて斜面を登る態勢になっているのが望ましいですね。

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 トライアルの競技に頻繁に出てた頃には当たり前のようにやっていたことも、競技から離れてしばらく経つとついついその感覚とかを忘れてしまうなーってのが今回の反省でした。

 それにしてもこの動画の撮影は8月初旬だったというのに、アップが1月という。。。
 同時期に撮ったものが他にもあって、どれも気軽に撮ってみたものの、編集しだしてから「あ、これひょっとして動画で説明するの難しい?」って気がついて手間取っています。先々月の『マニュアルのコツ』もその一つ。
 対面のレッスンで直に話しながらだと、「不足分を補う」感じなので楽なのですが、動画は「どこから説明を始めて、どこを説明しないか」などの判断が難しいな、と改めて感じます。

 そうしたものもまたそのうちにアップできると思いますので、またどうかよろしく。

 ではでは。