動画:『【ウィリードロップオフ】後ろタイヤ壁面走らせるver.』動画の紹介(2022.7.11 記)

 ちょっと間が空いてしまいました。

 今回紹介の動画はこちら↓

 ウィリー(立ちこぎ)を使って段差から降りるテクニックがあります。
 これを使って段差から降りる時、段差の「壁面」を後ろタイヤが走るように降りる、というもの。

 個人的にこの時の後輪が走る感触が好きなのと、前後輪が同時に着地できると気持ち良かったりするので特に必要がない時にもやってたりします。

 ウィリーでのドロップオフは、こぎ上げができれば低い段差ですぐに練習できます。

こぎ上げのハウツーはこちら
【 How to 】はじめの “こぎあげ”

 ただ、ウィリードロップオフは覚えるのは簡単な一方、覚えたての頃には「後ろにひっくり返りやすい」という欠点があります。
 後ろタイヤがカドを離れた後、前タイヤが上がり過ぎて後ろに倒れるような感じになる、ということですね。
 低い段差なら、それでも転ぶことはないのですが、動画の段差(70cm)くらいになると空中にいる間により後ろに回転し、着地でブレーキができないと転ぶくらいになることがあります。

 なので、高いところで練習する前に低いところでこの動画みたいに壁面を意識したり、前後のタイヤが同時に着地する練習などをしてみるのもいいかなぁと思いますよ。

 

 この「後ろにひっくり返る」のは、後ろタイヤが段差カドを越えた時に回転する力に変化が生じるためです。

 後ろタイヤが段差を越えるまでは、前タイヤが上がった状態の回転モーメントは後ろ車輪軸を中心にして起き、重量は接地点で支えられています。
 これが、後ろタイヤがカドを越え落下を始めた時には、回転軸が重心に移るということになります。
(落下中の自転車の回転軸は、身体の姿勢変化などもあり正確には測ることが難しいですけどね)

 また、タイヤがカドを通過し落下に移る際、その落下によってタイヤ軸を前に送り出す力(加速)が生じ、これも回転を増やす要因です。

 この他に、段差カドを越えるに残ったペダリング推力も前に進む要因ですので、今回の動画ではそのタイミングで推力が残らないように「足合わせ」をしています。
(遠くまで跳ぶ時にはこのペダリング推力も使います。)

 なかなか複雑ですね。

 

==

(以下は、この時にどんな力が働いているのかなどについて書いたのだけど、だいぶごちゃごちゃした説明になってしまったのでおヒマな方だけ読んでくださいませ)

 ウィリーを使って段差を降りる時に「後ろにひっくり返る」を防ぐために「前タイヤを低く落とす」という動作が必要になり、その極端なのが今回紹介している動画の動作です。
(あと、重たい身体の落ち始める位置が低くなる=位置エネルギーが少なくなるので着地の衝撃が小さくなるという効果もありますね)

 後ろタイヤが地面の上にある時に前タイヤを下ろすと、ペダリングなどの推進力に支えられた自転車は、後ろ車軸を中心とした回転をします。
 そのペダリングの推進力や身体の動作によって高さを制御している形ですね。
(ペダリングがないと、重心が真下に落ちるので後ろタイヤは後ろへ動く)

 ですが、後ろタイヤが段差カドを越えて重さを支える真下の接地点がなくなると、今度は重心を中心として回転するようになります。

 この時の回転は、主に後ろタイヤが持っている、カドから落ちることで生じる前向きの力(既出図)と、それまでの移動の慣性、ペダリング余力などによる前向きの力によってもたらされます。

 空中での回転は重心を回転軸とするので、身体(重心位置)が後ろになるほど、後ろタイヤは壁面から離れていくはずですね。
(動画中「身体を後ろにさげすぎないのがコツ」と書いたのはこのため)

 ですが、「前タイヤ」と「身体」が振り下ろされて生じた”下向きの力”があると、その空中での回転を抑えることができるわけです。

 また、前車軸が水平以下まで降りていると、自転車が回転しても後ろタイヤはまず下向きに動くので水平方向移動を小さくします。

 ですから、前タイヤを落とした後身体が前方に動かなければ(真下に落下すれば)、後ろタイヤはさらに壁面から離れにくくなります。

 

 この時、トライアル癖でついハンドルを身体に引き付けたくなりますが、それをすると自転車が立つ(回転する)ために後ろタイヤは段差から離れていきます。
 また、あまり高くもないのにそれをすると、生じた回転によってタイヤを強く地面に叩きつけることになり、衝撃が大きくなったりしますしね。
 さらに、かなり高い段差でそれをやると、バイクが立ち過ぎてしまい、ひっくり返ったり着地の衝撃が大きくなることもありますから、ちょっと注意しておくと良いかもしれません。
 まあ、前から落ちるよりはよほど安全なのですけどね。

 

 仮に、前タイヤが低くなっていても、水平より高い場合や、「振り下ろし」ではなく「高さを維持」されているだけの状態では、下向きの力が弱くなります。
 そのため、後ろタイヤが落ちる(車体が回転する)速度と前タイヤの速度に差が生じ、後ろタイヤが先に落ちるような動きになります。

 これは、動画の中で「曲がりながらでもできる」とした場合のケースで見ることができます。

 もちろん、曲がりながらでも前タイヤをちゃんと落として水平着地することは可能です。今回の動画でできてなかっただけで。。。

 

 ということで、前タイヤが落ちる力に身体の落ちる力を合わせると、動画前半のように前タイヤと後ろタイヤが揃って、綺麗に両輪着地できたりして、これが気持ちいいんですよね。


==

 ついでに、最後の「緩い斜面を降りる時には前タイヤを上げすぎない」は、斜面の角度と身体の(水平)移動速度の兼ね合いです。

 緩い斜面の場合は、後ろタイヤが斜面を走る時の角度も緩くなるので、前タイヤにも下向きの力があまり必要ではありません。
 ですから、斜面に入る最初から、角度による加速度と前タイヤの落ちる加速度を揃えておいたほうが姿勢をキープしやすくなります。

 これの時に一番怖いのは、調整しようとブレーキしたら効きすぎて前から落ちることです。水平よりも低い位置に前タイヤを叩きつけるのでバランス崩しやすい(ひっくり返りやすい)んですよ。。。

==

 以上、とりとめもなくどんなことが起きてるのかを考えたので書いてみました。
 我ながら、なかなかうまくまとまらないので、そのうちに改めてまたどこかに書いてみようと思います。

 それでは、また。